秋の生贄

またこんど海で会おうよ幸福と生まれなかった子供を連れて


自転車のカゴで枯れ葉を受けとめてあかるい街がしずむ血のうみ


ふっかつのじゅもん」で呪われた俺「ゆうしゃ」再来に祝福はない


見納めの非常階段踊り場に踊らぬ心置きざりにした


もどしてと初期デモ音源もどろうと思えばいまでも戻れるはずと

映像と自害の春

からっぽの容器がいつしか張りつめてひびいる きみは笑うばかりで


この自由 不自由ゆえにすれ違う 自転車のベル祝福のごと


息切れて登りつめたる12階新米屋上マニアのわれは


ひだり目がフィルムの裂け目 鮮明に とぎれ ゆく 春 痛み なく  と も

壊れやすい頭骨

異世界の穴に潜ったひとごろし二十一世紀の空もまた青


憂鬱な朝日で踊ろう 子供かな子供じゃないよオバケだよ


マリファナは死んでもやらんと紫のフランクザッパ原理主義者は


確実に失ってきたくらがりを ああ また君の背で思い出す


焦点を合わせるように眠る日よ孤独な歌よフツーの日々よ