ぼこぼこ

すぐに消え吐き尽くせない白い息 大学ノートの冷たい自白


「朝だからこれで歌えば?」鈍重なファズのひずみに霜の降りけむ


変えられぬ星のかたちと千本の針をのみこむ嘘に微笑を


今きっとこのへんを流れているはずと指さす耳朶に水の原形


ぼこぼこと泡でつづる詩 ストローの吸うとこよそれ吐くとこじゃない

五指のいとなみ

歌姫は寝言から病む純真になるための勉強として

無言より生まれる歌詞は詩にならず寂しき文字を呼吸するキイ

寥々と五指のいとなみ 視線だけ外した先に暮れ残る耳朶

泣き叫び怒り狂って耐え忍びアドレッサンスなバグになる貝

木立まで

出鱈目な雪かも知れぬ木立まで無限の細部を奏でる音は

コーラスはデコボコ道に運ばれるギターケースと妊婦の悲鳴

眼の中に映る眼の中に映る眼の中に映る眼の中に映る

眼球を煮詰めた嘘から腐乱してゆく雨のレプリカ雪のレプリカ

ひんやりと眠る僕らのため白き夜は水鉄砲で十字架を撃つ