2005-01-01から1年間の記事一覧

秋の生贄

またこんど海で会おうよ幸福と生まれなかった子供を連れて 自転車のカゴで枯れ葉を受けとめてあかるい街がしずむ血のうみ 「ふっかつのじゅもん」で呪われた俺「ゆうしゃ」再来に祝福はない 見納めの非常階段踊り場に踊らぬ心置きざりにした もどしてと初期…

劣化の夏

大丈夫、もう、ダイジョウブ。神という記号のように劣化すること それきっと大きくなったらふにゃふにゃのペラペラになるプロペラになる

映像と自害の春

からっぽの容器がいつしか張りつめてひびいる きみは笑うばかりで この自由 不自由ゆえにすれ違う 自転車のベル祝福のごと 息切れて登りつめたる12階新米屋上マニアのわれは ひだり目がフィルムの裂け目 鮮明に とぎれ ゆく 春 痛み なく と も

壊れやすい頭骨

異世界の穴に潜ったひとごろし二十一世紀の空もまた青 憂鬱な朝日で踊ろう 子供かな子供じゃないよオバケだよ マリファナは死んでもやらんと紫のフランクザッパ原理主義者は 確実に失ってきたくらがりを ああ また君の背で思い出す 焦点を合わせるように眠る…

弔い

でもきっと同じではない弟を失った手の変則調弦 弔いもFに溶け出すそれだけが音かも知れない音を探りて 何度でも聴かせてもらうこの身体かつて満たした虹色の水

共同回線

あの遠きビルへ帰ろう太陽の残響を聴く夕暮れ族の背 たんたんとカスタネットの音ひびく地下また地下を叩けばめぐる火 凡庸な非凡さつなぎ書き残すご機嫌斜めの共同回線

かみのくに

はつらつとした嘘をつけきみの出すあざやかな舌シンジツの色 隙をみて光合成をするようなスパゲッティも伸びる太陽 暮れてゆく集団の唄、神のくに、日の丸ひらひら、上の句に戻る

奇術

冬の子がいびつに凍った階段をみて二段抜きで世界へ入る いちまいの哀しみ羽織る手品師にタネも仕掛けも戯けのうちと てのひらと同じぐらいに不確かな表情「きみは今日も見えない」 ここにきて双子は眠る これ以上続かぬ宴 つがいの死骸

ぼこぼこ

すぐに消え吐き尽くせない白い息 大学ノートの冷たい自白 「朝だからこれで歌えば?」鈍重なファズのひずみに霜の降りけむ 変えられぬ星のかたちと千本の針をのみこむ嘘に微笑を 今きっとこのへんを流れているはずと指さす耳朶に水の原形 ぼこぼこと泡でつづ…